シンガポール英語はアメリカン?ブリティッシュ?語彙・綴りに見られる特徴を街角リポート



ビジネス・レジャーの両面で日本人の渡航者数が年々増え続けているシンガポール。筆者も様々な形でこの国に10年以上関わり続けておりますが、年を追うごとにこの国のメディアへの露出が多くなっているように感じます。渡航者数が増えているという事は、我々日本人がシンガポールの英語に触れる機会が増えているという事でもありますね。

このエントリでは、いわゆる口語的なシングリッシュではなく、新聞や看板等、非カジュアルな状況で見受けられるシンガポール英語の語彙やスペルの特徴を実際に使われている例を写真でお見せしながら紹介していきます。

シンガポールは元々イギリスの植民地として発展してきた歴史を持ち、現在も英連邦に加盟している国なので、中国語やマレー語等他の言語や民族的な影響を除けば、シンガポール英語は非常に英国的と言えるということを念頭に置きながら、ご覧下さい。


・綴り編
同じ単語であってもアメリカ英語イギリス英語で綴りが異なるケースがあります(詳しい記述はそれぞれの項目を参照)。イギリス式に対してアメリカ式のほうが実際の発音に近いですし、この方式で英語を習っている我々日本人には馴染みやすいかもしれません。前述のようにシンガポールは大英帝国の植民地であった為、後者を採用しています。

・-or vs -our
風味」を意味する単語。"flavor"はアメリカ式で、"flavour"がイギリス式。これはラッフルズシティーのレストランのプロモーション広告なのですが、実はこの写真の中にはもう一つ同じ変化に則った単語が隠れています。さんお気づきですか?

そう、"savour"です。動詞として用いられた場合「~を賞味する」という意味を持つ単語ですが、これもイギリス式に綴られており、アメリカ英語だと"savor"となります。

もう一例は地下鉄MRTの駅のサインから。イギリス式に綴られた"Harbour Front"駅もアメリカにもし同じ名前の駅があったとしたら"Harbor Front"となっているはずです。

・-er vs -re
中心」や「(施設の名前として)~センター」を意味する"center"もイギリス風に"centre"と綴られます(例:People's Park Centre)。

もう一例。「劇場/シアター」を意味する"theater"も、この国では英国式に"theatre"となるので、マリーナベイに鎮座するあのアイコニックなドリアン風の建物も"Esplanade Theatres on the Bay"と綴られるわけです。上記の写真には前述のcentre/centerの例も混ざっていますね。

・-m vs -mme
プログラム、カリキュラム」等を意味する単語はアメリカ式ならprogramと綴られ、イギリス式なprogrammeとなります。


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・語彙編
狭い狭いと言われる日本でさえ同じ意味を持つ単語で地域によって差異が出てくるわけだから、世界中で使われる英語となるとその違いは更に歴然となります(これに関してはこちらのウェブサイトが詳しいので、興味のある方は是非)。綴りと同じように、シンガポールは英国式を採用しているので、所見だと日本人が違和感を抱く単語も使われています。

・parking lot vs carpark
駐車場」:parking lotはアメリカ式の言い方で、イギリス式だとcarpark.
ドリアン的な見た目がマリーナエリアの特徴となっているエスプラネードシアターで見つけたサイン。

・elevator vs lift
エレベーター」:日本語にも輸入されている「エレベーター」はアメリカン・イングリッシュでの呼び方。ブリティッシュなら"lift"となります(リフトは日本語だと荷物用の昇降機に使われる傾向がありますね)。撮影地:フェアモント・シンガポール。

・line vs queue
」:繁盛しているお店や施設のエントランス、空港やホテルのチェックインカウンター等で見られる「行列」は、アメリカ英語だとlineで、英国式なら"queue"となります。「並ぶ」という行為をアメリカ式に言えば"line up"イギリス式なら"queue up"

・floor vs storey
階、フロア」:storeyはイギリス英語でよく見られる単語。勿論floorも英国やシンガポールで使われるので留意されたい。撮影地:ラッフルズホテル・ロングバー


とまあたった数日の滞在でもこれだけ見つかります。コロニアルな雰囲気漂うシンガポールの町並みですが、そこで使われる英語からも往時の名残が感じられて面白いですよね。よりディープなシンガポール英語の世界を味わいたい方はこちらのエントリをご参照あれ。