dowan [dˈəʊwɔn][ドウワン]
[動詞][慣用句](シンガポール)
1.=don't want
don't want(~が欲しくない、~したくない)が変化・縮約されたもの。
シンガポール英語(シングリッシュ)においては、word-final(語末)のconsonant cluster(子音連結、子音が繋がっているクラスター)が省略されたり縮められる傾向にあり、/p/、/k/、/t/や/d/のplosive(破裂音)が他の子音の後に続く場合はそれらが省略される場合があります(Low & Brown 2005:131)。
よって、don'tの語末の子音連結である/nt/はまるまる省略され/dˈəʊnt/が/dˈəʊ/となり、wantの語末の子音連結である/nt/が縮められて/t/が消え去り、/wɔn/となり、合わさって/dˈəʊwɔn/=dowanとなるわけです。
似たような例を挙げると、シングリッシュではlastは[ラスト][lˈæst]ではなく、/t/が省略されて[ラス][lˈæs]となります。この現象は非常に厄介で、stingとstinkが同じ発音になりますし、findがfineと同じになります。
例文 I dowan to be alone rn. 今は一人になりたくない。
例文 I dowan to go back to school. 学校には戻りたくない。
例文 I dowan anything else. 私は何も要らない。
例文 She dowan talk to me. 彼女は私には話しかけたがらないのだ。*1
*1 通常英語では三人称単数現在の否定形にはdoes not = doesn'tを用いますが、dowanは主語がheやsheで時制が現在形の場合でも使用されます。これは、シンガポーリアン達が主語が三人称単数であっても時制を問わず原形を使う傾向にあり、よって否定形もdoes not=doesn'tではなくdo not(don't)を使うためです。